私は、ロック大好きである。尊敬するミュージシャンは、The Beatles、 Led Zeppelin、 King Crimson、 Yes、 Steely Dan・・・、という調子である。だが、ロック、ジャズ、ブルースばかりだと、いかんせん煮詰まってくる。そこで最近は、大嫌いなクラシックを調査・研究している。

 

 ベートーヴェンの「月光」は、なんか変な響きで異色の美しさがある。その秘密の一つは、転調にあると思う。

Key Cm → Ebm → Eb → C → Cm → ・・・

 という調子で、延々と転調しまくる。転調の解釈は、人によって変わるものである。だが間違いないのは、ベートーヴェン本人が、楽譜をCm(原Keyは、C#m)で押し切っていることだ。普通の作曲家は、転調したら#とbを新しいKeyに直す(移調)。だが、月光では移調を一切せずに楽譜を書いている。彼は、何を考えていたのか?

 

「月光」で特徴的なのは、途中のGコード(原Keyは、G#)で変な分散和音(アルペジオ)を使っていることだ。

 

G – Cm on G - Fdim7 on G - Cm on G - F7 on G - Bm6 on G - Fdim7 on G - Fm on G・・・

 

G(ドミナント・コード)上で、複雑な響きが続く。けれど主体は、F(サブドミナント・コード)をマイナーにしたり、7thにしたり、dim7にしたりというわずかな変化だ。でも、さすがベートーヴェン。この分散和音だけ、カウンターメロディー一切なしで、美しく聴かせる曲を作っている。

 

 続いて、バッハの「Ave Maria」。イントロの最初を聞いただけで、誰でも知っている曲だ(Key は、C)

 

C7 - FM7 - F#dim7 - Cm on G - Abdim7

 

 曲後半の「Ave Maria、Ave Maria、Ave Maria、〜♪」が続く箇所である。C - F -F# - G - Ab と上昇するベースラインに加え、C ではなく、C7 でドミナント進行のようにFM7 に進むコード進行も上手い。強烈なのは、Cm on G。Cメジャーの曲で、平気でCm を弾いて平然としている。しかも、このCmがすごく効いている。

さてその直後で、バッハは

 

 Adim7 on G - C on G - G7sus4 -G7 - C7

 

というコード進行を使っている。まず、

・ベートヴェン「月光」と同じ、G(ドミナント・コード)上で和音をわずかに変化させていること

という共通点がある。だがバッハは、Adim7というCから6度のdim7コードをGに乗せている。Fサブドミナントではない。

① 直前にAbdim7を使ったから、半音上がってAdim7にしよう。

② ベースは、ずっとGにしよう。Gは、Abdim7の構成音ではない。でも、ずっとGを続けるからいいや。

 そんな考えだったのではないか?

 以上は全て、素人の仮説である。なので、本気にしないでください。真面目にクラシックに取り組んでいる方なら、きっと激怒されると思いますm(_ _)m。