その日の帰り、私はフェイタンにワガママを言って団長とシャルナークの元へ連れて行って貰った。
フェイタン達が使っている、もう使われていない錆びれた工場内には何処から持ってきたのかソファやらクッションなどが置いてある。
フェイタンが私を連れてシャルナーク達の元へ行けば、2人共真っ先に
『その子が鍵を握っている子か?!』
と言い放つ。
フェイタンは気まずそうな顔をしつつも
「分からないね。ただワタシ達の事知ている娘よ。」
とだけ言い学ランを脱ぎ始めた。
「…初めまして、川瀬 千晴です。」
と自己紹介をすれば、団長は
「カワセ?」
と不思議そうな顔をするし、シャルナークは
「ふーん…。」
と興味なさげだし、フェイタンにいたっては
「お前カワセて名前だたのか。」
と言いだす始末…。
私がこの失礼な3人に呆れかえっていると、例にもよってあの可愛い携帯を弄っていたシャルナークがあっ!と大きな声を上げた。
私たちが一斉にシャルナークの方を向くと、シャルナークは携帯片手に走り寄って来て団長とフェイタンに携帯の液晶画面を見せつける。
「今ネットに繋いでみたら繋がったんだ!」
そんなシャルナークの言葉にフェイタン達は一気に冷めた表情になり
「それがなんだ。」
「そなことどうでもいいね。」
と冷たくあしらう。
しかしシャルナークは更に興奮した声で
「これ、あっちの世界のケータイサイトだよ!?」
と捲し立てると、ホラッと言い相手にしてくれない2人じゃなく私に携帯を見せてきた。
そこにはハンター文字で書かれたサイトが映し出されており
「あ、ホントだ。」
と私が言えば、
「でしょっ!?」
と益々興奮するシャルナーク。
そんな私たち2人の反応に少し気になり始めたのか、団長とフェイタンもシャルナークの携帯を覗き込んだ。
そしてハンター文字で書かれたサイトを見ると、今度は3人でヒソヒソと話し始める。
私は除け者扱いされている気分で嫌だったが、あとからシャルナークに聞けば全部説明してくれた。
「あのね、俺たちが此処に来たのって丁度2日前なんだけどさ?」
「…うん。」
「その時、俺達3人共、念も使えないし、フィンクスや他の団員とも連絡が取れないし、勿論ネットだって繋がらなかったんだ。」
「…うん。」
「でも今は繋がる!」
「…うん。」
「つまりさ?いくら強力な念で俺達をこっちの世界に飛ばしたとしても、ずっと飛ばしていられる程の力はないって事さ!」
「え…?どういう事?」
私が本気で分からないという顔をすれば、呆れた表情でフェイタンが口を挟む。
「つまりワタシ達が帰れるのも時間の問題て言う事ね。」
「え…。」
「徐々に向こうの世界と繋がて来ているよ。」
フェイタンはそう言うと、時間の問題なら学校行かなくて済むね等と言っている。
そして再びシャルナークが得意げに
「俺たちが来たのが2日前だとして、もうネットが繋がる。…っていう事は、このペースで行けば後5日~6日で帰れるんじゃないかな?♪」
と言うと、嬉しそうに笑った。
団長はそんなシャルナークに
「しかし帰れたとしても、再び何処かへ飛ばされても困る。此処に飛ばされた理由、見付けておけよ?」
とだけ言うと、私に向き直り
「まぁそういう事だ。学生探しは必要なくなった。君には迷惑をかけたね^^」
と丁寧に謝罪される。
私はせっかく会えた存在が徐々に薄れていくのを感じていた。
「…………あのっ…!!」
私が大きな声を出せば、皆がキョトンとこっちを向く。
「シャルさん達が帰っちゃうまでの間……、私に…、フェイタンを貸して下さい…!」
そんな素っ頓狂な事を言えば
「え???」
とシャルナーク。
「……ふむ…。」
と団長。
そして…、
「意味分からないねっっっ!」
とフェイタン。
「お願いします…。」
私は団長とシャルナークに深々と頭を下げる。
3人がワイワイと相談している中、私の中はモヤモヤとしたものが渦巻いていた。
