深々と頭を下げていた私をよそに、団長とシャルナークとフェイタンは相談していたが不意に団長が私に声をかけた。
「カワセ。」
そう呼ばれ
「あ…、はい。」
と顔を上げれば、団長は何か考えているような素振りを見せながらもある提案をしてきた。
「フェイタンを貸し出す代わりに条件があるのだが…。」
「条…件………?」
「嗚呼。そうだな…、2つ程。」
「……なんですか?」
私がそう訊ねると、団長は少し偉そうな顔つきになり
「この世界の書物を3~4冊欲しい。お前のオススメのな。」
と呟いた。
「オススメ…。あ、じゃあ家にある本をあげます!」
「すまないな。」
「もう1つの条件って?」
「嗚呼、面倒だとは思うがこの世界の言語がどうにも分からない。あいうえお表を作って欲しいんだが。」
「あ、お安いご用です!^^」
私がそう言うと団長は
「それじゃあフェイタンは帰るまでの間君に貸し出そう。」
と言い爽やかな笑顔を浮かべる。
そんな団長に猛反論のシャルナークとフェイタン。
シャルナークが団長に
「団長!ダメだよ!フェイ1人で行動なんて危険すぎる!」
と言えば、フェイタンも
「そうね!別にワタシ1人で行動が危ないて訳違うけど、団長の趣味の為にワタシが売られるおかしいね!」
と食ってかかる。
しかし団長の
「ん?…団長命令だ。」
の一言で2人がピタリと黙った。
そして団長はニッコリ微笑みながら
「それじゃ本とあいうえお表はフェイタンに持たせてくれて構わない。フェイタンを宜しくな^^」
とだけ言うと、シャルナークを連れて廃ビルの奥の部屋へと消えていった。
残されたのはフェイタンと私の2人だけ。
私はフェイタンを連れて外に出ると、家への帰路についた。
その帰宅途中、フェイタンは納得がいかないというようにブツブツと何かを言っている。
よーく聴き耳を立ててみれば愚痴のようだった。
「…………何でワタシがこんな目に合わないといけないね…。」
「………。」
「…団長職権乱用よ………。」
「…まぁ確かに………^^;」
「…ん?カワセもそう思うか!」
「………うん、まぁ…少しね^^;」
「やぱそう思うか!」
「うん^^;」
「………てより、お前が団長にワタシを貸せとか訳分からない事言たのが悪かたね!」
「だって…、フェイと一緒にいたかった………。」
「…は?!………/」
「…ずっと憧れていたから^^」
「………//」
「…なーんてね!?///」
「カワセ壊れたかと思たね…。ワタシをからかう良くないよ。」
「あのさぁ~、言っておくけどカワセって名前じゃないからね~?」
「え?ワタシ名前聞き間違たか?」
「そうじゃなくて、この世界だと名前が後なの。」
「………名前なんだたけ?」
「Σ…!ひっどーーーーい!!!!」
「………;;;」
「千晴です!川瀬 千晴!」
「嗚呼、そうだた。チハルね、チハル。」
「そうだよ!ちゃんと覚えてね!」
「覚えたね。」
そんな和気藹藹とした会話をしながら帰る道は、いつの間にか夕焼けの赤色に染まっていた。
いつまでこの幸せな時間が続くのか、それは私も分からなかったが…フェイタンの中に少しでも私という存在を刻みたかった。
