kuminsi-doのブログ:笑って介護

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≪「娘だ!」≫ 

 

今日はいつものように義父の入所している施設にヨーガ療法のボランティアに行った。 

 

先週、義母の所に行って来たが、1度も「とうちゃん」とは言わなかった。 

私が「とうちゃんは?」と聞いても、義母は反応せずニコニコしているだけだった。 

むしろ、外に停まっている車が気になって「あんなに車が停まってるだな。知らんかったわ」と感心するのだった。 

 

さて義父はどうなんだろうか?? 

 

「寒いだ。寒いだ」 

義父はそう言いながら小さな赤いブランケットを掛けてもらい突っ伏している。 

 

ヨーガが終わると施設の介護士さんから声を掛けられる。 

「最近、お父さん、ます子、ます子と呼ぶんですが誰ですか?」 

 

「ます子はおじいちゃんのお母さんですよ」 

私は何の疑いもなく答える。 

 

「そうなんですね」 

施設の介護士さんはさらに続ける。 

「ます子、来てくれや、ます子、来てくれや、と最近しきりに呼ぶんですよ」 

 

「さー、どうしてでしょうね?」 

私は首をひねりながら答える。 

 

また義父が幼少期に返っているのか?? 

 

そこで私は義父そばに行き、の背中を軽くさすりながら聞く。 

「おじいちゃん、ます子って誰?」 

 

「ます子か? ます子はな俺の娘だ」 

義父は突っ伏したままで迷うことなく、はっきりと答える。 

 

娘??? 

 

「じゃミエコは?」 

そこで私は義母の名前を聞いてみた。 

 

「ミエコか?」 

義父は直ぐには出てこないらしく突っ伏しながらも頭を左右に傾げる。 

 

「知らない? ミエコだよ」 

私は再度、義父が良く聞きとれるように耳元で聞く。 

 

「知ってるは、ミエコはな」 

義父は言ってから間が開く。 

 

「誰?」 

私は促す。 

 

「ミエコは俺のかあちゃんだ」 

義父はやっと思い出したかのように少し大きな声で答える。 

 

「ミエコはおじいちゃんのお母さんなんだね」 

私も納得したように答える。 

「そうだ。お袋だ」 

義父はこれで自信を得たようだった。 

 

しかしミエコは義父の連れ合いである嫁の名前である。 

私の義母である。 

義夫の母はます子である。 

 

そう言えば、まだ義理の両親が私たちと一緒に暮らしていた4~5か月前までは良くそのことで喧嘩をしていた。 

 

「おめえは俺のお袋じゃねえか」 

義父は時々、義母を見てそう指さすのだった。 

 

「何を父ちゃんは馬鹿なことを言ってるだ、わしゃ、とうちゃんの所に嫁に来ただ、とうちゃんより年下だだぞ」 

義母はそのたびに怒っていた。 

 

「何言ってるだ、俺を生んでくれたじゃねえか」 

義父はそう言って義母を自分の母と言って、義母を説得にかかっていた。 

 

「何、馬鹿言ってるだ、とうちゃんは」 

義母はカンカンになり畑に出て行くのだった。 

 

しかし、しばらくすると「おい、背中掻いてくれや」と義父が甘えて言うと、義母は黙って義父の背中をいいと言うまでいつまでも掻いているのだった。 

この時の様子を見ると義父は義母を自分の連れ合いであって、お袋ではないことを分かっているようであった。 

 

義父にとってはます子であれ、ミエコであれ、自分の世話をしてくれる女性が居れば良く、それが娘でもお袋でもいいんだろうな~ 

 

だから義父にとっては連れ合いである義母もどうでいいのかな~ 

 

認知症が酷くなっていると言うより、義父はずぼらなんだろうな~ 

 

今、二人はお互いをどのように思っているのだろうか??? 

 

謎だ!