灘中学校の名物授業で使われていたことで注目された本です。

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作者の自らの幼少時代の思い出を軸にした小説で、
病弱な男の子が世話役の叔母さんに可愛がられて育てられ、やがて思春期に差し掛かるまでが描かれています。

まだ女性たちが髷を結っていたり、祭りや子どもの遊び、言葉遣いに江戸の名残りがあり、どこかのどかな空気感が漂います。

擬態語、擬音語が詩的で、叙情的な少年の雰囲気をよく伝えています。

将来の仕事や生活への心配などまるで感じていない、無産階級的な様子がどこか夏目漱石に似ていると感じていたら、

実際、夏目漱石の推薦により、大正二年に東京朝日新聞で連載されたとのこと。

大正から昭和、戦前から戦後まで、少年期の代表的な愛読書だったとか。

主人公は、男子にしては女々しい感じがして魅力を感じないけれど、
さまざまな描写の細やかさ、美しさは素晴らしいです。

こういう、普段使わない言葉や昔の生活のあれこれを知っておくことは、きっと心を豊かにしてくれる。

もっと早く出会いたかったものです。



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