空想するのが好きだった

空想すると自分の置かれている状況が

なかったかのように思えるからだ

空想の内容は

今の状況を覆す内容ではなく

ただ

虫の世界

とか

雲の世界

とか

色の世界

とか

そういった完全に別次元のことだった

自分を取り巻く状況が

全く変わる

例えば

お姫様になって

毎日ドレスを着るとか

従者がいて何でも身の回りのことをしてもらうとか

そういうものではなかった

私にとっては

親がいつも私のことを見てくれるといった

そういう願望めいたものでもなかった

ただただ別次元に自分を浸らせて

いっとき現実を忘れて痛みを忘れるといった

空想だった

そんな空想よりも

現実は私にとっては過酷だった

現実の方がフィクションだと言えるような

そんな慌ただしい毎日だった

こうやってブログに吐き出しても吐き出しても

染み出してくるような

そんな現実だった

普通に経験しないことを

たくさん経験した

小説家にでもなって

それらを作品にまで持ち上げることができれば

それも価値になるが

そんな技量もない

私の中には私しかいなくて

物語が回っていかない

優れた小説を読んで

感銘することもない

私にはちょっとだけ独特の感性と

誰かの役に立ちたいという気持ちしか

持ち合わせていないのだ

毎日は疲れる

過去の出来事に苛まれる

新しい問題が降ってくる

いっそのこと

全てがフィクションで

私はただの普通の女の子で

普通に恋愛して

普通に結婚して

普通に子どもを育てるだけが良かった

普通のおばあちゃんになって

普通に年を取って孫の顔を見ながら死んでいく

そういうのが良かった

私のフィクション的な経験が

役に立つことがあるのか

正直疑問だ

私は私の経験によって

私の最低限の極値を下げて生きてきたし

それは自然に子どもたちにも継承している

そんなことが何の役に立つのか

役に立つとか立たないとかは

人生では言いっこなしなのか

何だか疲れる

この試練を乗り越えたら

何があるというのだ

何の価値があるというのか

私はただ

自分が正しいと思う道を見つけて歩くだけだ

正しい正しくないという価値観も

この際取っ払いたい

そういう世界線でないところに行きたい