浜松から大阪までは遠くて長い時間がかかりそうなことは予想された

でも行かなければならない

ホテルは予約しているのだ

今回の旅はチェックアウトからチェックインまでは

車移動で

毎日毎日6時間以上は車に乗っていることになった

そのことに妹が耐えられるのか心配になったが

行くしかない

行くことを決めてしまったのだ

昨日は富士山を前から横から後ろから見れたりして

やはり目印になるほどの大きな山であることを再確認しながら運転した

大阪までの移動では難関と言われている

名古屋の分岐がある

名古屋の分岐はとても複雑で間違いやすい

そのことを夫がやたらと脅してきた

私はそうは言ってもみんなが通る高速道路で

そんなに複雑だったら

カーナビなり標識なり標示なりそれなりに教えてくれるはずだから大丈夫だと思った

実際にそれらが道を教えてくれて間違えなかった

万一間違えてもまた高速道路に乗り直せばいいことだ

夫が脅かすからどんなものかと思ったが

間違いなく行けた

何だそんなものか

夫に脅かされた言葉や雰囲気の方が恐かった

多分私に旅を諦めさせたかったのだろう

私はやると言ったことはやる

どうにかやり遂げる

そんなにたくさんはないけれど

やると言ったらやるのだ

周りの人の言うことは関係ない

夫は私が高速道路に長時間乗ったら

絶対に事故をするとか

大怪我や寝たきりになって

看病やお葬式をすることになって

事故ももらい事故だけでなく

私が起こした事故だったら

損害賠償で生活ができなくなる

娘に言って脅していた

自分の不安を子どもに言って

どうするのだ

そんなことを運転しながら思い出して

苛ついた

どうしてそんなことを言うのだろうか

これは

相手に期待しないとか

嫌な思いをする人とは距離を取る

そういう対人関係の悩みを解決するための

メソッドにどうにも則らない

何でそんな風に傷つき続けなければならないのか

訳が分からなくなってくる


その日も昼食後には運転しながら眠気がやってきて

それを回避するために

何度もサービスエリアを訪れた

その度に妹には食べ物を買ってやり

私は眠くなるから食べないようにした

いろいろなサービスエリアの特徴を見ながら

お土産を買いながら

また運転する

何度目かのサービスエリアで

もうお店を回るのが大変になってきたし

買うものも思いつかなかったから

ここで少し休むね

と妹に言って

妹にはポテトチップスを差し出して

食べていいよと言ったら

妹はバリバリガツガツと

すごい勢いで口に入れていく

相当ストレスが溜まっているな

と思った

思ったけど

声かけでは止めたけど

妹は止まらない

怖いくらいだった

仕方ないから

少しだけ外に出て

飲み物を買い

また運転を始めた

妹がそのように

反発することは珍しいので

そして私が叱ることも珍しいから

何だか驚いた

目的地があるから

そこへ進むことにする


どういう訳か鳥の糞がたくさんフロントガラスに落とされる

窓を拭きたいと思う

サービスエリアにあるガソリンスタンドで

給油しようとしたら

給油代がとても高くて驚いた

でもそこでは丁寧に窓を拭いてくれた

一安心してまた出発する


大阪環状線に入ると

周りの車の運転の荒っぽさが気になった

気になっても運転しない訳にはいかないから運転し続ける

そこでもたくさん分岐があって難しい

でもどうしても海遊館に立ち寄りたかった

だからどうにか運転する

どうにか海遊館に到着する

海遊館では妹が疲れていて苛つきそうだったから

早めに鑑賞した

それでも魚たちを眺めると癒やされた

お土産を買い海遊館を後にする

車に乗ったら

妹がストレスが溜まっていたのか

車内の片付けを

潔癖症的にし始めた

私はただ眺めていたが

そのうち勢いが高じて

ダッシュボードに置いてあった

ウェットティッシュの袋ごと

絞って水分が袋を破いて外に出て

私と助手席の窓にぶちまけられた

私は流石に怒ってしまった

触らないで!

と強めに言って

ホテルが近づくまで無言で過ごしていた

妹も静かにその時間を過ごしていた

私も反省の意を込めて

黙っていた

こういうのって家族だからできるよな

そういうのって療育や支援の場では

相応しくないよな

とか思いながら過ごしていた

私はそういうことを言いたいのだな

と思った


ホテルに着いたのはまた夜で

夕飯を外に出て食べたかったが

そのような余裕は見つからなかった

近くに良さそうなお店も見つけられなさそうだった

だからホテルの中の居酒屋さんで

お好み焼きやらたこ焼きやら串カツやらを食べることにした

他にもピザやらバンバンジーやら頼んだら

すごいたくさんの量になってしまった

私も妹も無理が効くほうだから

平気かと思われた

私は妹に反発されて驚いてたじろいでいたから

何だか気持ちもそぞろでたくさん注文してしまった

たくさん食べて

やはり少し残ってしまいそうになり

持ち帰りできるか聞いたら

衛生上していません

と言われてしまい

ふたりで食べきることにした

やはり無理が効いて食べきった

その間高い階から外を眺めると

ビル群や雷が光るのがよく見えた

気圧が変わると不穏になる子もいるらしいから

そういう日だったかな

とか思った

でも疲れてもいるよな

何せ長時間の運転は

運転するのも疲れるが

助手席に座るのも疲れるのだ

妹の気持ちもきちんと推し量っていこう

と思った