天才ダンサーシルヴィ・ギエム ファイナル公演 at 名古屋 | HSP2.0・育成者、支援者、サポート者のための〜非認知能力アップ実現のためのポリヴェーガル理論理解

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敏感、繊細、感受性の高いHSP(highly sensitive person)が、生まれ持った感性と強みを仕事に活かして生きていくことをサポート。
日本で最初にHSPとポリヴェーガル理論を結びつけ、生きづらさは自律神経系のケアで解消できることを説いている。

クミシュラン皆川公美子です。

 
今日は待ちに待ったシルヴィ・ギエムの
ファイナル公演at名古屋。
 

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伝説のボレロ。

1990年に東京バレエ団と踊ったのが
日本でのボレロ初演でした。

そこから25年。
多分今年が本当のファイナルなのだろうなあ。

 

 

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↑愛知芸術劇場前からのぞむ オアシス21と電波塔。
愛知芸術劇場での公演でした。
 

 

 

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5階席。

 

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この日の演目は4つ。
1、3は東京バレエ団の数人のダンサーで。とてもよかった!

2はギエムが立って動かずに、腕のうごきだけで 見せます。
4番目が「ボレロ」でした。
 
 
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本当に行ってよかった。

このボレロの感動は一生忘れないと思います。

いやね、シルヴィ・ギエムだけにフォーカスして見ていたら
高すぎるジャンプとか、
すごい開脚わざとか、
そういうんではなくて、
身体能力はさすがに50歳だから20歳のときには
及ばないはずで、
のりにのったテクニックをもつダンサー、という角度はちょっと違う。。。

そうではなくて、彼女の作る世界というものを
体感、体感しました。
そのなかに入って、感じました。

ちょっと話がそれるのですが、
絵画や音楽を鑑賞するときに、
意識のフォーカスのしかたについてたまに考えています。

「ソフトフォーカス」

いわゆる「半眼」の状態。
➡︎半眼についての解説


半眼の状態というのは、座禅や太極拳などでもよくいわれますが、
フォーカスしていない、ぼんやりと対象物を見るというか
感じるというか、そういうモードです。

そういうモードで作品全体のスタンスを鑑賞する、
例えば今回のことでいえば、
ギエムの筋肉のひとつひとつを観察するのではなくて
(もちろんギエムの筋肉の鑑賞をしてもよいと思います
ギエムがステージのうえで作り出している世界、
それをまるごと食べる気持ち・・・とでもいうのでしょうか。


食事でいえば、
ミートソーススパゲティがあるとして
ミートソースを口に含んだ時の、
お肉の大きさや食感や味、
ちょっとボロボロしているなあ~とか
やわらかいなあ~とかソースが滑らかだなあとか、
肉の甘みや硬さなどに感覚に意識を集中するという時もあるだろうし、
(ミクロを見る、感じるモードです)


そうではなくて、
ミートソースが醸す世界、を堪能することもあります。
甘ずっぱくて幸せ~とか
あ~友達のせっちゃんはミートソースを作るのが上手だったなあ~とか
一皿のミートソーススパゲティが立ち上がらせる世界ってありますよね。


ミクロにフォーカスするのではなくて、
一歩引いて
そこに立ち上がっている世界をぼんやり堪能する、そういう見方です。


もとい。
ソフトフォーカスの目で見た、そこが
今回の特別さにつながっています。


ギエムは
淡々とボレロのリズムにのって
無から徐々に躍動感・高揚感をクレッシェンドさせていきます。
激しい動きではなくて、
海に浮かぶボートのよう、
ゆらゆらと規則的に上限している。
それが時間の経過とともに
ボルテージが上がってきて
5階まで客席のある大ホールのお客様を感動の渦に引きずり込む
あの時間はなんだったのだろう。
そこに
場の世界を作るチカラ。

2500人の観客を前に
世界を出現させるアーティストというのは
本当に稀有だと思う。

100年に一度の逸材と言われるのが、
実際のステージを見て、よくわかりました。
 
 
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ラヴェルのボレロは
スネアが同じリズムパターンを刻むボトムのうえで、
フルートからはじまり、様々な楽器がソロでメロディーを奏でます。
ソロの楽器はどんどん層がぶ厚くなって複数になり、
Aパターンのメロディーと
Bパターンのメロディーが交互にでてきて
18回それをくりかえしてクライマックスを迎え
最高潮に達したところで終わります。

【ソロの楽器構成】
  1. スネア
  2. 第1フルート
  3. 第1クラリネット
  4. 第1ファゴット
  5. 小クラリネット
  6. オーボエダモーレ
  7. 第1フルート、第1トランペット弱音器付き)
  8. テナーサクソフォーン
  9. ソプラニーノサクソフォーンソプラノサクソフォーン(今日ではソプラノサクソフォーン1本で演奏)
  10. ピッコロホ長調ト長調)、ホルンハ長調)、チェレスタ(ハ長調)
  11. オーボエ、オーボエ・ダモーレ(ト長調)、コーラングレ、第1,2クラリネット
  12. 第1トロンボーン
  13. フルート、ピッコロ、オーボエ、コーラングレ、クラリネット、テナーサクソフォーン
  14. フルート、ピッコロ、オーボエ、クラリネット、第1ヴァイオリン
  15. フルート、ピッコロ、オーボエ、コーラングレ、クラリネット、テナーサクソフォーン、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン
  16. フルート、ピッコロ、オーボエ、コーラングレ、第1トランペット、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン
  17. フルート、ピッコロ、オーボエ、コーラングレ、クラリネット、第1トロンボーン、ソプラノサクソフォーン、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ
  18. フルート、ピッコロ、トランペット、サクソフォーン、第1ヴァイオリン
  19. フルート、ピッコロ、トランペット、第1トロンボーン、サクソフォーン、第1ヴァイオリン
  20. 最高潮だ~~~おわりっ!

    こういう構成です。
     
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はじめ世界はしずかだけれども何もない。。
そこにかすかなリズムが生まれます。
生命のリズム。。。
それはまわりに少しずつ波紋をなげて
生命は連鎖を始めます。

ピッコロが5度でハモるあたりから
(メロディーがはもって普通に気持ちいいのは3度と6度なので
5度はエキゾチックな感覚に聞こえます)
世界がふるふると微動を始めます。


そしてストリングスがメロディを担当して
表舞台に躍り出るころから、
大きくて重たい扉がごごごご~っと
動きそう、開きそう・・・という感じになってきます。

最後フルオーケストラになって、
全員がフォルテッシモで演奏するあたりになると、


(イメージ画像をお借りしました。)

重くて動かなかった10メートルくらいもある
古い木の扉が、ぶわ~~~~~~っと開きだす!

そういうイメージでした。

 

そこにはもう、光と世界の恍惚しかない。

それしかない。

そして扉が開いたあとは

宇宙に投げ出されたような静けさ。

とんでもない、静寂。

 

はあ~~涙がでました。