さまざまなご意見をいただき、ありがとうございます。
 
まずは、俳優さんは「声」が大事では、とのご意見。
その通りだと思います。それと、「滑舌(かつぜつ)のよさ」かな。なにを言っているかわからないと、セリフを書く脚本家としては、コケそうになりますね。
 
『真田丸』は、特に武将たちを描いているので、出演者は男性が多いですよね。私、個人的に、男性の「声」がとても好きで、若い頃から、「声フェチ」と呼ばれていました。わはは。
今は中性的な男性を好きな女性も多いようですが、やはり、男性の女性とは大きく違う部分って、魅力的だと思いますね。
中性的な外見の男性から低い声が出る、なんてのもいいですよね。
 
『真田丸』で好きな俳優さんというご質問ですが、好きではない俳優さんを探すのが難しいくらい、好みの方が多く出ています。
今回、主役の叔父役の俳優さん、今、名前が出ませんが、あの人もいいですね。
 
また、私の草刈正雄さん好きは有名で、大河ドラマ『篤姫』、『江』、最近では、『美女と男子』でもご一緒しています。とても穏やかでクレバーな方です。『美女男』の打ち上げで、珍しく酔っていらして、それでも静かに微笑んでいらしたお姿に、「やっぱり、いい男って、ええなあ」と感じ入りました。雑誌で食に関する対談をさせていただいたのですが、何を話したのかはよく憶えていませんが、男性の魅力が炸裂していたことだけはハッキリと。はい。
 
堺雅人さんは、やはり特別ですね。
『新撰組!』に出ていらしたのを拝見し、「篤姫の夫には、どうしても堺さんで!」と繰り返し、ついにお願いできたときの嬉しさと言ったら……。
 
そして、堺さんには、脚本家としても、大いに学ばせていただきました。
俳優さんたちって、演じるときには、脚本家にではなく、監督に演技法をたずねる方が多いのです。「この役って、どういう人物なんでしょう。どう演じればいいでしょうか」なんて具合に。
もちろん、私たち脚本家は現場にいることが少ないので、当然、監督の思いに添いたいのでしょうが、時には、すぐそばに私がいるのに、監督に訊ねている俳優さんなんかもいて、「こら、書いた私に訊けよっ」なんて思うこともあるのです。
 
そんな中、『篤姫』の時は、堺さんから、「会いたい」と呼び出しがかかり、私がどんな思いで、堺さん演じる13代将軍家定を書こうとしているのか、これからどんな風になっていくのか、自分はどう演じればいいと思うか、などと、実にしつこく、丁寧に質問されたのです。
感動しましたね。
忘れられません。
そして、あれ以来、あれほどのしつこさで食い下がる俳優さんに会ったことはありませんね。
 
そして、これまでで忘れられない俳優さんのひとりに、豊川悦司さんがいます。
『江』を書いた時に、織田信長役に、どうしても豊川さんをお願いしたいと言ったところ、豊川さんは、大河ドラマには出ないので有名なのだとプロデューサーに言われたのです。それまで、誰が話を持っていっても、それこそ討ち死にしたそうです。
それでも諦められず、事務所に問い合わせていただいたのですが、やはり、「出ません」とのお返事。
そんな時、私、夢を見たのです。豊川さんが信長の衣装を身につけ、「よろしくお願いします」なんておっしゃったのです、私に向かって。
目が覚めて、「やっぱり信長はとよえつだっ!」と思った私、しつこくプロデューサーに食い下がり、もう一度お話しを持っていっていただくことに……。
そのかいあってか、他になにかがあったのかわかりませんが、その後、オーケーが出たのです。私、飛び上がりましたね。
その後、ご一緒にお食事をしたときに、私がそこまで思ったことを、「嬉しかったです」なんて、あの声で言われて、またまた感動しました。
大河嫌いな豊川さんが語る信長像なんてのも新鮮で、なかなかに興味深いものがありました。
 
この仕事を30年以上もやっていれば、俳優さんとの思い出は、それこそたくさんあります。が、今日はこのへんで。
女優さんのことも、また書かせていただきます。
 
あれ、皆さんのご質問にお答えするつもりが、お二人分になってしまいました。
また、改めて!