様々な違和感を抱えながらも、彼なりの「言い訳」にどこか丸め込まれてしまった私は、その後、関係を深めていくことになります。
付き合いたての頃といえば、普通なら一番楽しくて幸せな時期のはずです。
でも、私たちの関係は、スタートした直後から不穏な空気が漂っていました。
当時の私は、仕事や日々の生活で疲れが溜まっていて、体調があまり良くない日が続いていました。
足も腰も痛いし、歯も痛い……。
彼は私の家によく泊まりに来ていましたが、彼が来れば当然、私の生活リズムは崩れます。
本当はもっと一人でゆっくり休みたい。やりたいこともある。
でも、彼が「来てくれているから」と、私は健気に我慢をして彼を迎えていました。
それなのに、彼はベッドの上で、信じられない言葉を私にぶつけてきたのです。

「俺、待ってる時間が長いんだけど。寝る時間がない。察してよ」
耳を疑いました。
私は決してダラダラしていたわけではありません。体調が悪いことも、最初から彼に伝えてありました。
それなのに、彼は自分の「待たされている時間」への不満を、私にぶつけてきたのです。
私がショックを受けていると、彼はさらに追い打ちをかけるように、衝撃的な言葉を口にしました。
「だって、次(会う時)は生理かもしれないでしょ?」
「そしたら、ずっと(エッチが)できないじゃん」
……言葉を失いました。
彼は「好きだからしたいんだよ」と言い訳をしました。
でも、私にはどうしてもその言葉が理解できませんでした。
「好きだからしたい」って、一見聞こえはいいけれど、本当に好きな相手なら、まずは体を気遣うものではないの?「無理しないでね」って言ってくれるものじゃないの?
私はただ、大好きな人と一緒にベッドに入って、
「あったかくて気持ちいいね」「安心するね」って、そんな平和な幸せを感じたかっただけなのに。
彼にとっては、私の体調の悪さよりも、
「今日、自分とエッチができるかどうか」
の方が、遥かに重要だったのです。
私は体じゃなくて、心がほしい。
恋人から、自分の体調を完全に無視されて欲求を押し付けられることが、どれほど傷つくか、彼は微塵も理解していませんでした。
当時の日記には、怒りと悲しみがこう綴られていました。
「そこを軽視されるのが嫌なんだよ。こんなことが続くなら一緒にいたくない。私、何もしないでゆっくり寝る、ができる人と付き合いたい。どんどんしたくないなって気持ちになってしまって……。距離か時間が欲しい気持ち」

この時、私は彼と少し距離を置こうと提案しました。
自分の心を守るために、それが正解だと分かっていたからです。
それなのに……その直後に行った旅行で、彼は車酔いした私に、今度は打って変わって「ものすごく優しく」してくれたのです。
冷たくされて傷ついた後に、急に極端に優しくされる。
この「飴と鞭(アメとムチ)」のジェットコースターこそが、モラハラ人間が被害者を依存させるための常套手段です。
私はその一時的な優しさに騙され、「やっぱり私の考えすぎだったのかな」「本当は優しい人なんだ」と、またしても彼の元へ戻ってしまいました。
こうして私は、彼の手のひらの上で、少しずつ飼い慣らされていくことになります。
(次回へ続きます)