何とか炉内中継装置の引き抜きが無事終わってほっとしたと言うところだな。
全く中が見えない金属ナトリウムの溶けたプールの中から取り出せたもんだ。

やはり水と反応して激しく水素を発生させ爆発する金属ナトリウムで冷却する「高速増殖炉」は、
どう考えても無理があるな。
全電源喪失等のシビアアクシデントが発生したらお手上げだな。

同じような事故は、実験炉「常陽」でも発生しておりこっそり修理されていた。
それでも炉内にちらばった細かな部品は、そのまま残された。
溶融した金属ナトリウムで全く見えないから回収不能。

高速増殖実験炉「常陽」の事故とその重大性
http://www.page.sannet.ne.jp/stopthemonju/home/0901joyojiko.pdf

「常陽」の炉心は、「もんじゅ」と同じような六角形の燃料集合体85 体で構成されている。
照射試験は、炉心のど真ん中を含む6 ヶ所で行えるようになっている。2007 年5 月
の定期検査時に、そのうちの1 つに入れていたMARICO - 2 と呼ばれる照射試験用実験
装置を抜き、原子炉容器内壁近くのラックへ移した。MARICO - 2 をそこで切り離し、
移動装置だけ元の位置に戻した。

ところが、照射実験装置がラックにキチンと収まっていなかったか、あるいは移動装置の掴みが
はずれなかったために、移動装置の移動によってMARICO - 2 の上部が引きちぎられてしまった。

MARICO - 2 はラックの上へ9 センチもはみ出し、その突起物が、移動装置の移動にともない
ラック上を通過した炉心上部機構にぶつかり、炉心上部機構の下面を破損させた。

ところが、事故の発生は約6 ヶ月後までわからなかった。11 月の燃料交換作業で操作不能が
起こり、その原因調査で初めて損傷に気がついたのである。破損の発生も、
それに気がつかなかったことも、ナトリウムが水とちがって不透明なことが
基本的要因となっている。

その不透明さが、破損の調査自体も大変困難にした。破損部を探査するためには、原子炉容器内のナトリウム
液位を、炉心上面が裸になるまで下げなければならない。

中略

同様の事故が「もんじゅ」で起こればどうなるだろうか。そもそも「もんじゅ」では、
究極の事故=炉心崩壊事故対策として、ナトリウム液位を炉心上面が見えるところまで下
げられない構造になっている。破損を見つけること自体できない。

「常陽」で失われたピンの探索・回収は困難を極める。前例が、1966 年、米国高速増殖
実験炉フェルミ炉で起こった。剥がれた板が冷却材流路を塞ぎ、過熱した燃料が溶融した
事故である。

特殊な遠隔操作機具を開発し、失われた板の回収に2 年近くを要した。
固定ピンはより小さいため、探すだけでもフェルミ炉事故の場合よりずっと困難だろう。

どこかに挟まり冷却材の流れを塞げば炉心溶融につながる。
炉心が溶融すると原子炉の反応度が増大するので暴走事故につながるかもしれない。
(フェルミ炉や「常陽」は実験炉で小型のため、その影響は「もんじゅ」より軽減される)。

原子炉容器内に異物を落としてしまうトラブルはあり得ることだ。
高速増殖炉ではそれが致命的になる可能性が大きい。

「常陽」の事故は、軽水炉にない高速増殖炉特有の危険性を如実に示している。それが、
原子力界内で目立たぬように処理されようとしている。

修理には2 年~ 4 年、40 億円~100 億円の費用がかかると言われている。
こんな原発が実用になるはずがない。




もんじゅ炉内落下の装置、引き抜き完了

日本原子力研究開発機構は24日午前4時55分、高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の原子炉容器から、約10カ月間落下したままになっていた重量3.3トンの装置の引き抜き作業を終えた。

 引き抜き作業は当初、23日午後2時ごろから始まる予定だったが、準備作業がはかどらず、実際に始まったのは7時間近く遅れた午後8時50分だった。

 落下していた「炉内中継装置」(直径46センチ、長さ12メートル)は衝撃で変形していたため、引っかかっていた炉開口部のさやの部分と一緒に、天井に ある大型クレーンでつり上げた。装置等は約8時間かけ、炉開口部の上方に据え付けた専用の容器「簡易キャスク」(直径1.4メートル、最大長16メート ル)に直接、収納された。

http://www.asahi.com/national/update/0624/OSK201106240001.html