5月29日から6月11日までイメージ・フォーラムで上映されていた、
イエジー・スコリモフスキ'60年代傑作選と銘打たれた4作品の中の1つ。


原題は『障壁』。

「戦後ポーランド社会の抱える世代間の障壁を象徴的に描いた」作品…らしい。
らしいというのは、「実験的」「前衛的」との評判どおり、一筋縄ではいかないストーリーだから。

全体を通して、視覚的にインパクトの強い映像が次から次へと飛び込んでくる。


かなり大胆なシーンをこれでもかと取り入れ、展開が全く予想もつかない。
物語の前後のつながりがよくわからず、凡人の私には超難解だった。


主人公の大学をリタイアした若者と電車運転士の女性はおそらく戦後ポーランド世代で、
戦中世代と分かりあえず、アイデンティティを探しているんだな~ということはうっすらとぼんやりと理解。


ただ、よく分からない分、冒頭の若気の至りともいえる馬鹿げたゲームや、
スーツケースに乗ってジャンプ台から飛び降りるシーンなど
多くの印象的な場面が、今も鮮やかに脳裏に焼き付いている。
また、次のシーンこそは少しは理解できるよね、という期待感で全く飽きる暇がなかった。


これって監督の術中にはまったのかな?




クローバークローバークローバークローバークローバークローバークローバー


1966年 ポーランド

監督:イエジー・スコリモフスキ
出演:ヨハンナ・シチュエルビッツ
ヤン・ノヴィツキ





中年を過ぎた人間が、一念発起して夢をつかむ物語に弱い。


さらに、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲に乗せて
激動のドラマなんかが映し出されたりしたら…。


今はボリショイ劇場の清掃員として働くロシアの元名指揮者が、
同じようにオーケストラを解雇されたかつての仲間と
偽のボリショイ管弦楽団としてパリに乗り込む。


直面する問題をあっという間に解決し、

とんとん拍子に実現するロシアン・ドリームと軽妙なタッチの笑い。
一方で、ブレジネフ時代の圧政や時代の波に乗れない老共産党員の物悲しい滑稽さも描かれる


エピソードのすべてが調和し、ロシア人という私にとってあまり身近ではない人々の物語にどんどん引き込まれていく。

クライマックスの演奏シーンはもう禁じ手としかいえない。

なぜ主人公のアンドレイは若手ヴァイオリニスト、アンヌ・マリーを共演者に指名したのか、なぜオーケストラの団員たちは解雇されたのか。
協奏曲とともにあふれ出てくる真実に、込み上げるものを抑えきれないから。


エンドクレジットが終わるまで席を立たないのは暗黙の了解だけど、
感動で赤くなった眼を元に戻すにはちょうどいい時間かも。




クローバークローバークローバークローバークローバークローバークローバー


2009年フランス

監督:ラデュ・ミヘイレアニュ

出演:

アレクセイ:グシュコブ

メラニー・ロラン


鳥打帽もケープつきのコートも着ていない、
頭ぼさぼさで偏屈で、金田一耕助のようなホームズ。


ホームズとワトソン、2人とも血の気が多い。
当然アクションシーンも満載なんだけど
もうこれは従来のホームズとは別物と思って楽しんだほうがよい。


イギリスの歴史ある街並みと、もろに作り物とわかるCG。
この組み合わせはいろいろな映画で使用されているし
(これは19世紀の話だけど)既視感たっぷり。


否定的なことばかり書いているようだけど、
実は結構満足度は高い。


ストーリーはテンポよく、ワトソン君はなかなか気品があり、
ホームズはどこかユーモラスでキュート。
ロンドンの雰囲気も気分を高揚させてくれる。

「全部まるっとお見通し」なホームズの推理もさすがだ。


原作ファンとしては、続編(あると予想)のあの人との対決に

今からどきどき。




わんわんわんわんわんわんわんわんわんわん


監督:ガイ・リッチー

出演:ロバート・ダウニー・Jr.

    ジュード・ロウ