鎌倉芸術は多方面にわたりますが、まずは、建築と彫刻を見てみましょう。
源平の争乱で奈良の寺は多くの建物が焼失しましたが、その一つ、東大寺の復興に尽力したのが重源です。そう理解したうえで改めて肖像彫刻の代表作、「東大寺重源上人像」を見てください(なお、東大寺の再興にあたっては源頼朝なども多額の寄付をしました)。建築様式として中国から取り入れられた技術による大仏様は、東大寺南大門に代表され、「雄大さ、力強さ」を特徴とします。余裕があれば、技術者として陳和卿<ちんなけい>の名も。なお、南大門はぜひ一度現地で体感してください。特に門の中にある、8mを超す東大寺南大門金剛力士像は圧巻です(何というか、顔ドーン、身体ムキムキ、気迫ドカーンです(^^♪)。
大陸から伝わったもう一つの建築様式、禅宗様は実に精巧です。代表作は鎌倉にある円覚寺舎利殿です。授業でも取り上げましたが、ここで、円覚寺-無学祖元-北条時宗が3点セットで浮かぶといいですよね。他に建築様式としては、和様と折衷様があります。このうち和様の代表に三十三間堂(蓮華王院本堂)があります。京都駅から比較的近いので行った人も多いのではないかと思います。
彫刻では、先ほどの東大寺南大門金剛力士像(運慶・快慶作)が最も著名です。肖像彫刻では、興福寺無著・世親像(運慶作)、六波羅蜜寺空也上人像(康勝)あたりも印象的ですね。
次に、絵巻物と肖像画について。絵巻物はいろいろな種類がありますが、『一遍上人絵伝』、『蒙古襲来絵巻』は絶対押さえたい所。前者はもともと時宗を広めるために円伊という人が作成したものですが、単に一遍の一生を描いただけでなく、当時の武士、人々の生活などもうかがうことができます。後者は作者不明ですが、肥後の御家人、竹崎季長の活躍を描きます(合戦場面もさることながら、個人的には恩賞を安達泰盛におねだりする竹崎君の表情が好きですね)。他に、『北野天神縁起絵巻』や『春日権現験記』も気をつけましょう。北野の方は菅原道真の生涯と北野神社の由来を描きます。春日の方は、鎌倉後期の代表作です。(昔は、北野の方がよく出題されましたが、近年は春日の方がよく取り上げられる気がします。五味文彦東大名誉教授の著書の影響かなと個人的には思っています。)
肖像画では、似絵。藤原隆信、信実の親子が画家として有名ですが、作品名を聞かれることはまずありません。かつて『伝 源頼朝像』が隆信の作品ではないかとされたことがありましたが、この京都神護寺の肖像画は頼朝ではなく足利直義(尊氏弟)とする説が大変有力となった今、可能性はゼロです。禅宗の高僧を描く頂相は、正しく教えを継いだ証として師から弟子に伝えられるものだそうです。臨済宗が多いですが、曹洞宗のものもあります。
その他として、刀剣については名工の名を念のため押さえておきましょう。京都の藤四郎吉光、備前の長光、鎌倉の正宗です。書道は青蓮院流を創始した尊円入道親王の『鷹巣帖』。工芸では、加藤景正が中国の宋から伝えた瀬戸焼です。
最後に、文化は図説(資料集)を必ず見てください。そうでないと、単なる文字の羅列になってしまいます。文化史を得意にするには、図説とお友達になることです。