皆川博子「風配図」
皆川博子さんの本を読んでみたくて今回この本を読んでみました。
皆川さんについてはゴシック調のものを期待して読んでみました。舞台は12世紀のドイツとロシア。後書きを読んでハンザ同盟が背景にある物語だということが分かりました。12世紀というとこの前読んだ「バウドリーノ」と同じような時代です。
物語はバルト海に浮かぶゴットランド島、ドイツのリューベック、ロシアのノヴゴロド。主人公はゴットランド島の少女のヘルガ。望まぬ結婚させられリューベックの遭難した商人の為に決闘裁判に出ます。男に勝ったヘルガは北欧神話のロキの子供の狼人フェンリルと呼ばれてしまします。そんな境遇を逃れるため商人になろうとします。
この話は物語と戯曲とが混ざって書かれています。歴史物と言えますが、ヘルガだけについて書かれておらず、そのヘルガについても最後はどうなったのか不明です。歴史の中の庶民の生きざまというか、中世のもどかしい時代性が感じられました