ウンベルト・エーコ「バウドリーノ」上下
12月はPS5でバイオハザードRE4三昧の日々で読書は少なめでした。そんな中、年末年始にかけて読んだ本がウンベルト・エーコの「バウドリーノ」。ウンベルト・エーコの「薔薇の名前」が読みたかったのです。2024年に完全版が発刊される予定ということを知り待ってたのですが結局発刊されなかったので、こっちを読んでみました。
本の題名の「バウドリーノ」は著者のエーコの故郷のアレクサンドリアの生まれた人物です。このバウドリーノは神聖ローマ皇帝フリードリヒ・バルバロッサ(赤ひげ)に引き取られ父と仰ぎます。フリードリヒに気に入れられたのが彼がついた神の奇跡を暗示させる嘘でした。彼は自らの半生をラテン人らの陥落させられたコンスタンチノープルでニケタスに語ります。それは想像上の怪物マンティコアなどが登場する嘘とも言える物語。しかし、その嘘の話は現実的なキリスト教の教えと重なり、キリスト教に対する揶揄とも取れてしまいます。それはキリスト教だけでなく現実世界における常識に対する懐疑とも受け取ることができると思います