伊集院静「機関車先生」
映画化された時に見かけたことがあった作品です。著者の伊集院静さんは夏目雅子さんのご主人だった人。この作品は第七回柴田錬三郎賞受賞作です。物語として読み応えがあります。
舞台は瀬戸内海の小さな島に代用教員として北海道から赴任した吉岡誠吾。彼の母親はこの島の出身で亡くなった父がこの島に訪れた時に結婚したのです。彼は病気で口が聞けないのです。そのことを知らなかった児童が口をきかなかったことで「口をきかん」ということがきっかけでしたが、子供たちをぐいぐい引っ張っていくということから「機関車先生」と呼ばれるのです。
瀬戸内海の島そして先生というと「二十四の瞳」がありますが、それにも匹敵する人情味あふれる物語。しかし、いろんな出来事を全て回収せずに物語が進んでいくことが作為的なものを感じさせません。