ダヴィド・ディオップ「夜、すべての血は黒い」
著者のダヴィド・ディオップはセネガル人の父、フランス人の母のもとパリに生まれ現在フランスの大学で18世紀のフランス文学を教えています。幼少期はセネガルで過ごしたこともあり、ある意味ポストコロニアルの作家の一人と言えるのかもしれません。
この物語は第一次世界大戦にフランス兵として戦場に出たセネガル人が主人公です。彼の親友はドイツ兵に腹を切り裂かれ激痛のため楽にしてほしく彼に殺してくれと頼むのですが、彼はできませんでした。彼はそのことを悔やみドイツ兵を惨殺し手首だけを持ち帰ることにしました。最初は味方のフランス人は褒めたたえるのですが4本目から彼を不気味に思い魂喰いとして不吉なものとして扱い始めました。物語は彼の生い立ちを語り始めます。彼の行為の真意というものが何なのか考えさせられます。
この物語の英語版は2021年にフランス人作家として初めてブッカー国際賞を受賞したそうです