トーベ・ヤンソン「ムーミン谷の十一月」
ムーミン・シリーズの最終巻です。この本にはムーミン一家は登場しません。この前の巻の「ムーミンパパ海へいく」で孤島の灯台に行っている間の出来事と考えても問題ないのかもしれません。
今丁度11月です。読んでいてまさしく丁度なんだなと思いました。これから冬が本格的になるムーミン一家は冬眠に入る時期です。現在社会は地球温暖化でまだまだ暖かい十一月なのですが。。。
この物語は、春になりムーミン一家に会うためにスナフキンをはじめいろいろな住人がムーミン屋敷を訪れます。しかし、ムーミン一家と小さなミィはいません。小さなミィについては、この巻でムーミン一家の養子になったとはいっきり書いてありました。訪れた人々はムーミン屋敷に住み着きムーミン一家の帰りを待つのですが、とうとう十一月になってしまったのです。ムーミン不在のお話ですが、ムーミン一家の存在というものが大きくなっていきます。読んでいる僕も、ムーミン一家が消え去ってしまったのではないか、と心配になってきました。
解説では、著者のトーベ・ヤンソンが「ムーミンって、動物なんですか、人間なんですか」という質問に対し、スウェーデン語で「Varelser(バーレルセル)」と答えたのだそうです。日本語だと「存在するもの」という意味です。決して「妖精」だとは答えなかったそうです。これが核心なのだと思います