多和田葉子「星に仄めかされて」
もうすぐ10月10日、ノーベル文学賞の発表ですね。日本人の候補としては春樹さんが大きく扱われてますが、この多和田葉子さんも候補の一人です。10日が楽しみですね
この「星に仄めかされて」は、「地球にちりばめられて」の続編で、三部作の二つ目です。三作目は「太陽諸島」で発刊されてますが、文庫化はまだのようです。
留学中に祖国の島国が消えてしまったHirukoは、仲間と共に母国語を喋る人物を探してSusanooと出会えてのが前作まででした。しかし、そのSusanooは決して言葉を発することがなく失語症としてコペンハーゲンの病院に入院してしまいました。Hirukoの仲間は、Susanooに会うために再び集結します。Susanooが話さない原因とは何だったのでしょうか。。。
今回も民族と言語の関係など当たり前のアイデンティティーに疑問を投げかけます。HirukoとSusanooは共に日本の神話に登場してくるもの。この名前自体が二人の存在のメタファーとなっているのでしょう。
多和田さんの作品の魅力の一つに言葉の音に関する解釈があります。

生みの母は奈良の人で、東京に出て法学を勉強し、「インクの田んぼ」とかいう名前の区役所に就職した。お見合いで「大きな手の町」という不思議な名前の町で働いている手の大きな男と結婚したが、

「・・・半被という言葉も好き。」
「ハッピー?」
「半被は、幸福な上半身」