ラディゲ「ドルジェル伯の舞踏会」
青年貴族のフランソワはドルジェル伯爵夫妻と知り合います。そして、彼は伯爵夫人のマオに惹かれていきます。
フランスの貴族社会の恋の物語は、その欲望があらわのものが多いのですが、この物語は少々違います。フランソワはマオに恋するのですが、夫のドルジェル伯爵との友情のことを思い、悩みます。マオも知らないうちにフランソワに恋していることに気づき、その時とった行動は、フランソワの母親、そして夫の伯爵まで、そのことを打ち明けてしまいます。なかなか面白かったです。
この作品は、ラディゲの死ぬ間際に完成したもので、死後、友人のコクトーらが作品に手を加えていたようです。従来は、そちらが訳されていたようですが、この光文社版は、コクトーらの手が加わっていないものだそうです