ミシェル・ウエルベック「服従」
7月の読書会の課題本です。ずっと以前に読んだので再読となります。その時がウエルベック初読みだったと思います。ここ最近になってウエルベックの作品を幾つか読みました。なかなかつかみどころがない作家さんなのですが、自分なりのウエルベックに対する思いができてきたように思います。
2022年のフランスの大統領選でイスラム政権が誕生するわけですが、主人公は一大学教授として政治的なことには関わりもなく関心も高くありません。しかし、イスラム政権ができることで、所謂国立大学での地位を失ってしまいます。結局、彼はイスラム教に改宗することで、その地位を取り戻します。しかし、その改宗は積極的なものではありません。元々彼の人生観は、研究テーマがユイスマンスということから想像できるように積極的なものではなかったのです。