オウィディウス「変身物語 下」
この下巻の半分くらいはトロイ戦争の記述になってます。そして、トロイの英雄の一人であるアイネイアスのことへと。これは、ローマ建国の礎であるアイネイアスを称えたと言えるでしょう。そして、アウグストゥスへと。オウィディウスはカエサルについては「戦時にも、平時にも、衆にすぐれていた彼だったが、その彼が新しい星に変わり、きらめくほうき星になりえたのは、勝利に終わった戦争や、内政の功、あっというまに達せられた栄光によるというよりは、むしろ、彼の嗣子アウグストゥスに負うところが多い。だいいち、カエサルの幾多の功績のなかで、彼がアウグストゥスの父親になったことにまさるものはないのだ」と述べています。これほどまでにアウグストゥスの功績を褒めたたえたオウィディウスなのですが、そのアウグストゥスによってローマから追放処分を受けているのです。