ヘルマン・ヘッセ「知と愛」
原題は「ナルチスとゴルトムント」ナルチスは修道院の見習い僧で学問に優れ、後に院長まで上り詰める知に生きた人物。ゴルトムントは、父によって将来僧になるべく修道院に入れられた少年。ナルチスはゴルトムントの少年の魅力に心惹かれてしまいます。しかし、その感情を抑え、ゴルトムントは愛に生きる人物であることを見抜き、彼が修道院から離れることを暗に望みます。
知を断念して愛に生きることとしたゴルトムントは多くの女性と関わっていきます。それは幼い頃に去っていった母への思いなのでしょう。そして、彼は木彫という芸術の道に入っていき、ナルチスをモデルとした彫像を作り上げます。
女性への思いが断ち切れないゴルトムントは伯爵の愛人に手を出し、それが見つかり死刑を宣告されます。その彼を救い出しのはナルチスでした。
ヘッセにしては珍しくゴルトムントの女性との関わりを深く描いていると思いますが、そこはヘッセらしいストーリーの持って行き方になっています