村上龍「歌うクジラ 上」
2022年ザトウクジラから不老不死の遺伝子が発見される。それから100年後、人間世界は階層化が進む。上層社会の人々は不老不死の遺伝子操作をされるが、犯罪者などは反対に急速に老化するよう遺伝子操作されてしまいます。主人公の少年アキラは、父親が政府ににらまれ急速に老化させられてしまうことになり、その父から人類の秘密を握るデータを託され、流刑地の新出島から抜け出すのです。
村上龍さんらしいバイオレンス的な世界。アキラは父親から教わった敬語が話せることで、下層民らから恐れられるのです。これは今の日本においてもそうかもです。また、この近未来のディストピア的日本においては文化経済効率化運動の中で、結婚式や葬式など簡略化されていきます。これもコロナの影響でそうなってしまってますね。ディストピアだから社会崩壊するのではなく、社会が崩壊していく中でディストピアというものが起きるのでしょうか。戦時下の戒厳令というものはその類なのかなとも思えてしまいます。