西加奈子「さくら」
正直西さんの作品はあまり読んでません。「サラバ」を読んだ時にあまり自分にしっくりこなかったからです。しかし、この「さくら」を読んで、これから読んでいこうかなと思いました。
物語はサクラと名付けられた犬を飼っている一家の物語。どこにでもありそうだけど、きっとどこにもないような家族なのだと思います。父・母・兄・自分(次男)・妹にそして犬のサクラ。それぞれのキャラがすごく際立ってます。僕にはこの家族の誰にもなれそうにはありません。
物語は主人公の次男の視点で書かれてます。彼が父から家に帰るという手紙をもらったことから始まります。この時点でお父さんどうしちゃったの?という疑問が出てきます。そして兄が二十歳で亡くなっていることが分かります。ますますどういうこと??です。そんな一家の守り神のようなものが犬のサクラです。屈折しているところもありますが、やっぱり家族の愛が大事なと思いました。

大人になるというのは、一人で眠ることじゃなくて、眠れない夜を過ごすことなんだ。

嘘をつくときは、あんたらも、愛のある嘘をつきなさい。騙してやろうとか、そんな嘘やなしに、自分も苦しい、愛のある、嘘をつきなさいね。

ミキを産んだ母さんは、その隣で、ミキから生まれた小さな女の子みたいに、大声で泣き続ける。なんて賑やかな車内だ、なんてまっとうな涙だ。