片岡義男「ボーイフレンド・ジャケット」
主人公は小説家。その彼が見合いをします。しかし最初その相手の女性は仕事だとかで見合いの場には現れず電話で話をするだけです。
その後は、彼の異母姉との生活や彼の記事を取り扱う女性編集、そして彼自身が書いた小説そのものが語られます。小説の中に小説があるのです。
そしてエンディングは片岡さんらしくないというか、いつもはさらっと終わるのですが、それなりの驚きが用意されてました。
彼が書いた小説にこんなものもありました。彼の部屋を訪れた彼女は読みかけの本を忘れたのに気づき彼にこんな電話をします。
「お願いがあるの」
「なんだろう」
「あとほんのすこしで読み終わるところなの。読んでほしいの。電話で」
そして、この物語の終わりにボーイフレンド・ジャケットが出てきます。
ボーイフレンド・ジャケット、という言葉が冬彦の頭の中に閃いた。ボーフレンドが着ていたジャケットをガールフレンドが気にいり、取り上げて自分のものにしてしまった、男物のワン・サイズ大きいジャケット。