ラディゲ「肉体の悪魔」
読む前は、題名からしても15歳の青年の19歳の人妻へのバタイユのような破滅的な物語だと思ってましたが、読むべきものがありました。三島由紀夫の「ラディゲの死」をもう一度読み直してみようかなと思いました。
「ジャックと幸福になるより、あなたと不幸になるほうがいい」とつぶやいた
真の予感は精神の理解できない深みで作りだされる。だから、予感に従っておこなった行為を、僕たちはまったく間違って解釈してしまうのだ。
僕の心はまだ未来のことなんか考えない年齢だった。そうだ、僕がマルトのために望んでいたのはすべてを消してくれる無だ。いつの日かまた一緒になれるもうひとつの世界なんかじゃない。