阿部智里「望月の烏」
前の巻で落ち着いたのかなと思いきや、この第2部はここからストーリーが動きだすのでしょうか。今回は「登殿の儀」が舞台です。それは、この八咫烏シリーズの第1巻と同じ舞台設定になるのです。そして、その時に登場してきた女性達が再びということで、忘れてます。ということは今放映されているアニメを観るのがてっとり早いのでしょうか。。。これはうまい持って行き方ですね。
物語の流れも、こちらの予想を裏切ってます。第二部などで悪役が登場する場合、新たな人物が殆どですが、このシリーズは第一部の主要人物だったわけです。この第二部が始まってから何故この人が?という思いが強く、どうしても先を読みたいという気持ちになってしまいます。

どれだけ君主に仁愛があろうと、民は自分が飢えれば君主を恨む。
どれだけ君主が残酷であろうと、民は自分が満腹ならば君主を愛す。

この世には、知らなかった罪、知ろうとしなかった罪がありますが、私は知った上でそれを見なかったことにした罪こそが重いと考えます。

だが、博陸候のやっていることは、民が飢える前に飢えそうな民を馬にするという行為だ。そして、残った民を姫のように大切に扱っている。


ある意味非情に分かり易い悪政なのですが、案外僕らは気づかない場合が多いと思います。ファンタジーの中に現実政治が入ってきてます。世界の破滅の前にどう行動するのか。。。