廣野由美子「小説読解入門 『ミドルマーチ』教養講義」
元々は「ミドルマーチ」が読みたくてamazonで検索してたら廣野由美子さんの本に出会ってしまいました。廣野さんは「批評理論入門」を先に書いてみえたので、その順番通りに読もうと思い少し前にそちらを読みました。そして、いよいよ「ミドルマーチ」を題材にしたこの「小説読解入門」を読み始めました。読み始めたら面白くなってきて、一気読みでした。そして「ミドルマーチ」も読んだような気になってしまったと同時に、是非に「ミドルマーチ」そのものも読んでみたい気になりました。
今回も「ミドルマーチ」の映像化にも触れてあり、BBC制作のドラマの中で、原文にも使われているが、ドラマでは違う場面の最後の方で使われた言葉「沈黙の彼方」(the other side of silence)が紹介されてました。

ドラマでは「世界は苦しみで充ち溢れていますわ。私にはそれが、沈黙の彼方で押し殺された叫びのように思えるのです。もしそれがすべてわかるほど、私たちの感覚が鋭かったとすれば、その痛みでやられてしまうでしょう」
原作では「私たちがふつうの人間の生活のすべてに対して鋭い洞察力や感性を持っていたら、草の育ち音や、リスの心臓の鼓動まで聞こえて、沈黙の彼方でどよめく音に耐えられず死んでしまうだろう」

そういう意味では、この世のありとあらゆる音を観る観世音菩薩さまはすごい方です。手が千あっても足りないくらいなのでしょうね、と全く違うことを思い浮かべた僕でもありました