垣根涼介「極楽征夷大将軍」
これは直木賞受賞作品です。
題名の極楽征夷大将軍とは足利尊氏のことです。
鎌倉幕府滅亡から南北朝の動乱時代を扱ったものと言えば「太平記」があります。吉川英治の「私本太平記」を昔読みました。NHKの大河でもやり、足利尊氏は真田広之、足利直義が高嶋政伸、高師直が柄本明、楠木正成が武田鉄矢、佐々木道誉が陣内などなどでした。そんな顔ぶれを思い浮かべながら読んでましたが、この本で描かれている尊氏は極楽とんぼのような性格で、何も考えず素のままで生きる。うーん、真田さんとのイメージとは違うな。ただ、戦には天才的な才能があって、それは合ってるかなとも思いました。
途中までは、そんな尊氏を面白く感じ、正反対の弟の直義の関係を面白く読みました。しかし、描かれている内容は途方もなく多いもので、上下二段で500ページにもわたる大作ですが、後半は歴史的事実を追っていく感じがしてしまったのは残念でした。
忘れていた太平記の時代を思い出すことができました