ヘンリー・ミラー「北回帰線」
過激な性描写故に発禁処分になってた本書。高校の時、そういう本ばかり探して読んでる同級生がいて、この本のことを教えてもらった覚えがあります。
読み始めて、なんだこれは!?小説とは言えず、プロットするありません。多分主人公はヘンリー・ミラー自身で、パリでの生活が思うがままに書かれています。登場人物も1回出てきて消えてしまう人も多々あり。
意識の流れの小説としては、巻末に訳者の大久保康雄さんも書かれていますが、プルーストの「失われた時を求めて」やジョイスの「ユリシーズ」にしても、それなりにプロットがありますが、この「北回帰線」には全くありません。著者自身の思いが溢れるほどに書き綴られています。著者が吐き出した言葉が、著者自身に戻っていくような感じです、そういう意味での回帰線なのでしょうか。。。