市川沙央「ハンチバック」
読み始めて、まず書いてある内容にびっくり。それは主人公の女性がネットで公開している作品。そしてその女性は乳幼児期から筋力が低下する難病、先天性ミオパチーの女性で、背骨が湾曲していてほぼ寝たきりで、ほとんどのことに介助が必要なのです。「ハンチバック」とは、背骨が弓のように大きく曲がっていること、またそうした人のことを言いのだそうです。
この主人公の願望は子供作って中絶すること。そして、彼女がとった行動とは。。。
彼女は読書文化のマチズモを憎んでいる。?マチズモって何。。。マチズモはマッチョが語源で「男性優位社会」のこと。ここでは、本を手で持つことができ、自分の力で頁もめくることができる健常者優位社会のことのようです。彼女は背骨が極端に曲がっているため、本を持つことができないのです。
本を読み終わって、著者の紹介を見て、著者の方もこの小説の主人公と同じ病気だということを初めて知りました。
ここに書かれていることはフィクションなのですが、フィクションという言葉の意味にいろいろあることに気づきました。この物語ではフィクションでありながら、著者自身の訴えが強くあることを感じました。
ダイバーシティということを本当に考えていかなければいけないのだなと痛感しました