マイケル・オンダーチェ「イギリス人の患者」
映画にもなった作品。ブッカー賞受賞作品でもあり、2018年にブッカー賞50周年を記念して開催された、歴代受賞作から最も優れた作品を選ぶゴールデン・マン・ブッカー賞を受賞した作品でもあります。
時は第二次世界大戦の末期。砂漠に墜落した飛行機から全身やけどで救い出された男は名前も分からないイギリス人の患者。彼はイタリアの廃墟の如き屋敷に運ばれたのです。そこに集まったのは看護士のサラ。彼女の父の親友でかつては泥棒でもありスパイでもあったカラバッジョ。爆弾処理のエキスパートのインド人の工兵キップ。
彼らの過去が作品の中に漂いながら詩的な語りで物語は進んでいきます。
人は何かしら喪って生きていくもの。それは乗り越えられるものなのか、諦めざるを得ないものなのか。