吉田篤弘「水晶萬年筆」
万年筆に関する話はでてきません。日常生活の中に、ちょっと不思議なことが起きていいかなと思えるような人に迷惑をかけることのないような短編集です。
吉田さんの作品はちょっと息を抜きたい時に読むと心が軽くなったような気がします。

あのな、おでんてものは濁点が付くほど旨くなるんだ。

非常口というその名がいい。日常を脱するための最良の出口である。

「あのですね、何もせずに何かをしたような気になれることはないでようか」
とてもいい質問である。そして、いい質問には答えが何通りもある。