大江健三郎「私という小説家の作り方」
これは大江健三郎小説全十巻の月報として書かれたものをまとめたものだそうです。これだけでも、たいへん読み応えがあります。大江さんの書かれた小説の解説という意味だけでなく、文学に対する思いというものも読み応えがあります。

小説に方法はあっても方法論はないというような驚くべき論説が、生涯確かに自力で方法論を築きあげることはないだろうと思われる文芸研究家、批評家によって振りかざされる時代だった。それはいまに続いているのではないか?