夏目漱石「明暗」
漱石の絶筆となった未完の作品。
漱石は登場人物の思いを余すところなく書き綴っていくので、誰が主人公と決めることができないような感じです。600ページ以上かかっても、進んでいく日数は十日ほど。プルーストのような意識の流れと言ってもいいのかなと思ってしまいました。
それにしても、漱石の筆は現代文学と言ってよいほどの人間分析です。ただ、新潮文庫さんの注はちょっと多すぎるような気もします。この本に至っては解説まで書かれていることもあり、ネタバレじゃないかと思うこともありました