ウィリアム・ゴールディング「蠅の王」
ゴールディングはノーベル文学賞作家。その代表作がこの本です。
疎開する少年たちを乗せた飛行機が南太平洋の無人島に不時着する。そこで少年たちは、どのように生きていくのか。
この設定だとヴェルヌの「十五少年漂流記」を思い出されますが、ゴールディングは「珊瑚島」という作品が下地だったと述べられています。
題名が「蠅の王」。これは悪魔の王「ベルゼブブ」の名前。この名が示す通り、少年たちは次第に正気を失っていきます。それは希望が無くなっていったためなのか、自然というものに人が投げ出された時にそなるのか、薫陶されていない荘園たちにとっては仕方のないことなのか、読み手にいろいろ考えさせてくれます。
巻末に書かれてましたが、この物語の元々の設定は核戦争が起こった故に疎開する少年たちだったのだそうです。そのことは物語の中では、ただ戦争と書かれてるだけで触れてありません。