多和田葉子「犬婿入り」
ノーベル文学賞受賞の可能性があると言われている多和田さんの芥川賞受賞作品。
多和田さんはドイツに住み、日本語と外国語の違いという言語的なことで、自己の存在感を考察しているような作風。この本に収録されている「ペルソナ」というのは、ドイツに留学する姉弟の物語。姉を主人公にしていて、母国とは何かというような疑問感を呈しています。
表題になっている「犬婿入り」で芥川賞を受賞されてます。主人公は学習塾を開いている女性。彼女は品のないような話を子供たちにします。それを聞いた母親たちはその解釈に右往左往している感じ。そんな彼女の元にある日一人の男が押しかけてきます。その男は彼女が子供たちに話した犬婿のような奇異な行動をします。常識とは何か、ということが問われているように思えてきます。