石川淳「狂風記 下」
日本の政財界を牛耳ってる鶴巻大吉老人。そして、彼らに逆らうオシハノミコの流れを受け継ぐ、ヒメにマゴ。彼らの戦いは双頭のヲロチまでも登場する展開になっていきます。
意味不明なところは多々ありますが、石川淳さんの織りなす文体と摩訶不思議な世界。味わいある超大作ですね。。。現代に新刊で手に入らないことが残念です
野犬の背には亡者がしがみついてゐる。車が跳ねるのは亡者のあへぎ、ぢりぢり焼けるのは執念の火だ。焼けきれるまで吹っとばせ。ひきつぶされた草の根まで焼けて、町もいっしょに燃え上がるぞ。
うぬらがいのち、死んではいくたびも生きかわつて、のがれぬ身のつまり、千年の業火に焼けるとおもへ。
遠いまぼろしは今の世のうつつにあらはれたよ。みゆきの道には血の花を。国王オシハノミコのお通りだよ。
(漢字は現在の新字に変えてあります)