石川淳「狂風記 上」
太宰治と共に無頼派に属した作家の石川淳。今の若い読者でどのくらいの人が知っているのでしょうか。その伝奇ロマン風な作風が好きで若い時に何冊か読んだ覚えがあります。この「狂風記」もその一つ。本棚を整理していたら出てきたので久方ぶりに読んでみました。化粧箱に入った上下二冊の本。帯にあるように執筆10年の超大作です。
文体こそ現代語ではありますが、旧字体に旧仮名遣い。当時苦労して読んだ覚えがあります。あの当時は岩波文庫なども結構旧字体の漢字が使ってあったんで覚えるのが必須でしたね。今回久々ですが殆ど読むことができました。
物語は死者の靈の集うゴミ捨て場に住むマゴ、そして江戸時代末期に国学者の長野主膳の末柄のヒメを主人公とした怨霊が舞う物語。