シェイクスピア「タイタス・アンドロニカス」
初めて聞く題名。従って初めて読んだ。ちくま文庫の松岡和子さん訳のシリーズを読んでいて12巻目がこれだったのです。
シェイクスピアの初期の作品。悲劇というより惨劇。
ローマ帝国将軍タイタス・アンドロニカスは、捕虜のゴート人女王タモーラの長男を戦死した我が子への生贄としたのです。それに怒ったタモーラはローマ皇帝となったサターナイナスにとりいり皇后となり、タイタスへ復讐します。娘を凌辱させ舌と両手を切断、そして二人の息子を皇帝の弟殺しに犯人にでっちあげ死刑に処します。更にタイタスに二人の息子を助けたければ腕を切って差し出せと言ってだまします。復讐劇の応酬の惨劇。訳者の松岡さんは、これをラベルのボレロのように殺人のたった一つのクレッシェンドと喩えます。