塩野七生「十字軍物語四 十字軍の黄昏」
第六次十字軍はローマ法王グレゴリウスに要請によって、神聖ローマ帝国皇帝フリードリッヒ二世によって始まります。このフリードリッヒ二世は非常なリアリストで軍事的にも政治的にも能力に満ち、イスラム教徒とは一切戦わずに平和共存を達成します。しかし、当時のカトリックの考え方は、血を流してこそのイェルサレムの獲得であり、このフリードリッヒ二世の行いは認められず破門されてしまいます。一方、第七次十字軍はフランス王ルイ九世が行いますが、エジプトに攻め込み捕虜にされてしまい失敗に終わります。そしてルイ九世は第八次十字軍も率いて何を考えたのかチュニジアに攻め込み、病死してしまいます。そんな迷惑に終わったルイ九世はローマ・カトリック教会によって聖人として祀られたのです。
そして現在のイスラエルの北部にあるアッコンはキリスト教徒の最期の町として残っていましたが、マメルーク朝のイスラムによって滅ぼされてしまいます。