「ニーベルンゲンの歌 後編」
前編では、英雄ジーフリトはハゲネの企みにより殺されてしまった。この後編では、妃のクリエムヒルトが復讐します。
夫ジーフリトの死に悲しむクリエムヒルトはフン族のエッツェル王と結婚します。そして、ハゲネへに復讐するために、兄であるグンテル王を含めて、自分の元に招待します。そこで壮絶な殺戮戦が繰り広げられます。
この戦いでは次々と英雄と言われる人々が命を落としていきます。このあたりはホメロスの「イーリアス」を思わせるものがあります。
ただ、読んでいて「イーリアス」ほど楽しくはありませんでした。その理由は、事の発端は、ハゲネの悪意のある陰謀から起こったことで、そのハゲネを英雄達が助けるといった構図です。最終的にはハゲネは討ち取られのですが、クリエムヒルトも殺されてしまいます。物語の中でも、クリエムヒルトはどちらかというとしつこく復讐するということが非難されるような記述になっています。
この物語はゲルマン民族の魂のような叙事詩なのでしょう。その民族的な歴史背景に対する僕の理解が不十分なのでしょう。読んでいて、感情移入できない部分が多くあったのは事実です