紫式部「源氏物語 下」角田光代訳
この下というか、宇治十帖と呼ばれる、光源氏亡き後の薫を主人公とした物語は、紫式部の作家としての成長を感じさせてくれます。
薫、匂宮、大君、中の君、浮橋といった登場人物の心情を和歌を織りなして繊細に表現しています。角田光代さんの手法もあるのかもしれませんが、現代の物語としても面白いです。今風に言うのなら「男女五人宇治物語」なのでしょう。
光源氏はある意味、何をやっても許されるという神的な存在。その反動が、薫や匂君に表れています。光君の呪縛なのでしょうか。