平野啓一郎「透明な迷宮」
表紙の絵はムンクの「接吻」です。この絵は、本の題名にもなっている「透明な迷宮」のもの。この物語はブタペストで一夜監禁された初対面の男女。二人は悲劇の記憶を残す。その悲劇の記憶を消すために記憶の上書きをするのですが。。。
平野さんの短編は僕にとっては、長編より読み取るのが辛いのです。表題の「透明な迷宮」が意味するものは何なのか僕には不明です。僕らは目に見えない迷宮の囲まれていると言えるのですが、それではあまりに一般的過ぎます。
時間は常に、まだか、丁度か、もうかの三つの姿をしている。
時間を過剰に意識するか、適度に意識するか、まるで意識しないか。