ロマン・ローラン「ジャン・クリストフ 1」
ベートーヴェンの精神をモデルとした、ドイツで言うところの教養小説。
ロマン・ローランはフランスの作家でこの物語がフランス語で書かれており、彼はこの作品でノーベル文学賞を受賞した。
主人公のジャン・クリストフは祖父・父とも音楽家の家に生まれる。しかし、父は酒に溺れ若くして亡くなるのです。この1巻はクリストフの誕生から青年期までを描いたもの。彼は情熱的であらゆる不幸に見舞われると言ってもよい。そういう意味では、教養小説でもある。
そしてクリストフと同じように情熱的なのが著者のロマン・ローランです。
彼の叙述は、クリストフを始め登場人物の心情を徹底的に分析し描いています。読者はローランの記述を通して学ぶことができます。このあたりが教養小説と言える部分です。
音楽は謙遜で誠実であることを望む。
愛は愛する者のうちにあるので、愛される者のうちにあるのではない。純潔な者にあってはすべてが純潔だ。
偉人や偉大な思想などを、おのれと同じ水準に引き下げようとする批評家、恋人を卑しくすることを喜ぶ娘、この二つは同種類の有害な畜生である。ーただ後者の方がいくらかかわいい。