谷川俊太郎選「茨木のり子詩集」
茨木さんは戦争中に青春を過ごした方
その悔しさを詩に表しています
それも思いっきりよく

わたしが一番きれいだったとき
街々はがらがらと崩れていって
とんでもないところから青空が見えたりした

わたしが一番きれいだったとき
まわりの人たちが沢山死んだ
工場で 海で 名もない島で
わたしはおしゃれのきっかけを落としてしまった
「わたしが一番きれいだったとき」

女の言葉が鋭すぎても
直截すぎても
支離滅裂であろうとも
それをまともに受け止められない男は
まったく駄目だ すべてにおいて
「王様の耳」