ヴィアン「うたかたの日々」
著者のボリス・ヴィアンは、エンジニア、ジャズ・トランぺッター、ジャズ批評、翻訳家、エッセイ、オペラ・演劇・バレエの脚本、キャバレー・クラブの出し物の作者、シャンソンの作詞作曲、歌手、そして新型タイヤの特許取得、詩人、小説家という多彩な人物。
しかし、肺が悪く、自らの執筆作の「墓に唾を吐きかけろ」の試写中に肺気腫の発作で、39歳で亡くなります。
マイルス・デイヴィスによる映画「死刑台のエレベーター」の音楽録音に立ち会っています。
この「うたかた日々」は青年コランは美しいクロエと恋に落ちます。結婚をするのですが、クロエは肺の中に睡蓮が成長するという不治の病にかかってしまいます。
物語は彼らの恋物語だけでなく、彼らを取り巻く不思議な社会の不条理が描かれています。どんな社会かというと、各々の欲望のままに生きることが認められてしまうディストピア的な世界。
クロエという名前から分かるようにデューク・エリントンの曲が流れまくっています。一方、サルトルをモデルとしたジャン=ソール=パルトルという人物も登場してきます。
「そんなことをされたらわたしは実存の手段を失ってしまう」という言葉と共に殺されてしまいます。
「肺に睡蓮」は米津玄師の「感電」の歌詞に出てきますね