芦沢央「許されようとは思いません」
僕にとっては初読みの作家さんです。
人の心が謎とするならばミステリです。
5つの短編が収められています。この本の題名の「許されようとは思いません」という罪の意識で統一されていると思って読み始めました。最初の「目撃者はいなかった」を読んだ時に「あなたは、自分のためにしか証言でないんですね」という言葉からそう感じたのです。
しかし「許されようとは思いません」という言葉は開き直りというか、許されないことだと分かっていてもその行為に及ぶことなのですよね。
最後の短編の題名が「許されようとは思いません」その通りなのです。しかし、それ故に救われたと言えます。ほっとした読後感でした。