青年フェリックスはモルソーフ夫人に出会い恋に落ちる。夫人はまるで谷間に咲くゆりのよう。
しかし彼女は貞節を守るため、フェリックスとは精神的な愛でのみ応えようとします。
母親の愛としてパリに出るフェリックスに処世術を教え彼を国王の腹心にまで出世させます。
フェリックスはモンソール夫人ことアンリエットに愛を求めますが叶えられず、とうとう他の女性の求めに応じてしまいます。その結果、アンリエットは嫉妬に耐え切れず死んでしまいます。
表紙にも「霊肉の相克に苦しむ人間の姿を非情な筆致で描き出す恋愛小背うの古典」とあり、悲劇であるはずの物語なのですが、その結末は。。。
この「谷間のゆり」はバリザックの「人間喜劇」という作品群の一つなのです。
しかし、450頁にも及ぶ長さですが、短い期間で読み終えるほどの面白さを感じました。